50代になると、これまでの働き方がふと重く感じられる瞬間が増えてきます。昇進や成果よりも、「このままでいいのだろうか」という静かな問いが浮かぶこともあるでしょう。本記事では、その問いの奥にある自分の「動力源」を見つめ直すことから、これからの働き方を考えていきます。
なぜ50代で「働き方」を見直したくなるのか
50代は、体力や役職、家庭の状況など、20代・30代とは前提が大きく変わる時期です。会社では管理職として若手を育てる立場になり、以前のように自分の手で成果を作る機会が減ったと感じる人も少なくありません。役割が変わったこと自体は自然な流れですが、その変化に自分の気持ちがついていかないことがあります。
たとえば、長年現場で製品づくりに携わってきたある会社員は、管理職になってからというもの、会議と書類仕事に追われる日々に物足りなさを感じていました。
仕事の量は減ったのに、なぜか疲れが抜けない。それは体力の問題というより、自分が本来力を発揮できるやり方から離れてしまったサインだったのかもしれません。
「頑張ってきたのに、何か違う」という違和感は、怠けや甘えではありません。むしろ、これまで無理をして合わせてきた働き方に、体と心が正直に反応している状態だと考えることもできます。50代はその違和感に、ようやく耳を傾けられる時期でもあります。
この違和感の正体を探るとき、性格や能力の話だけでは説明がつかないことがあります。LifeFlowでは、そこに生まれ持った「動力源」とのズレという視点を加えて考えます。
「やり方」を変える前に「動力源」を見直す
働き方に迷ったとき、私たちはつい「もっと効率よくやろう」「新しいスキルを身につけよう」といった、やり方の改善に意識が向きがちです。
もちろんそれも大切ですが、そもそも自分がどんなことに力が湧くのかを知らないまま方法だけを変えても、根本的な違和感は消えにくいものです。
LifeFlowでは、この「何に触れると力が湧くか」という生まれ持った性質を「コア」と呼んでいます。コアは性格ではなく、生年月日から導かれるもので、環境や年齢によって変わることはありません。つまり、20代のときも今も、その人の動力源は同じ場所にあり続けているのです。
たとえば、子育てが一段落し、久しぶりに自分の時間を持てるようになった女性がいたとします。彼女は長年、家族のために動くことに充実感を覚えていましたが、それは「誰かのために動く」というコアの性質が発揮されていたからかもしれません。子育てという役割が変わっても、その動力源自体はなくなっていないのです。
働き方を見直すとき、まず自分の動力源を知ることは、遠回りのようで実は一番の近道になります。やり方を変える前に、そもそも何が自分を動かしてきたのかを確認する。50代はそのための材料が、これまでの人生経験の中に十分に揃っている時期でもあります。
コアという視点:何に触れると力が湧くか
LifeFlowでは、動力源としてのコアを愛・楽・個・智・徳・才の6つに分けて捉えています。人とのつながりに力が湧く人もいれば、新しい発想やアイデアに心が動く人もいますし、静かに一人で集中することで力を発揮する人、仕組みを整えることに喜びを感じる人など、それぞれに違いがあります。
職場での人間関係を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。同じチームで働いていても、人と話しながら物事を進めたい人もいれば、一人で黙々と資料を作り込みたい人もいます。
どちらが優れているという話ではなく、単純に力が湧く場所が違うだけなのです。50代になると、こうした違いを「性格の相性」ではなく「動力源の違い」として、少し引いた目で見られるようになります。
ある管理職の男性は、部下の仕事の進め方に長年もどかしさを感じていましたが、コアという視点を知ってから「彼は自分とは違う場所で力が湧くタイプなのだ」と捉え直せるようになったと言います。
相手を変えようとするより、それぞれの動力源を活かせる役割分担を考える方が、チーム全体としても自然に機能していったそうです。
頑張り方を変える前に、自分がどこで力が湧くのかを知ること。それが、50代からの働き方を考える最初の一歩になります。
フィールド:経験の中で育つ「発揮の方向」
コアが「何に力が湧くか」だとすれば、その力を実際にどう発揮するかという方向性を、LifeFlowでは「フィールド」と呼んでいます。フィールドには革新・共鳴・継続・設計という4つの方向があり、こちらはコアとは違って、経験の中で少しずつ育っていくものです。
たとえば、長年同じ会社で経理の仕事を続けてきた人がいたとします。若い頃は言われた通りに数字を処理するだけでしたが、経験を重ねるうちに、業務の流れそのものを整理し、無駄のない仕組みを作ることに喜びを感じるようになったとします。これは、同じコアを持ちながらも、経験によって「設計」の方向にフィールドが育っていった一例と言えるでしょう。
50代になると「今さら新しいことを始めるのは遅いのではないか」と感じる人もいますが、フィールドは経験によって育つものなので、これまでのキャリアそのものが土台になります。長年培ってきた経験を、これまでとは違う場所で活かし直すことも十分に可能なのです。
フロー状態:夢中になれる瞬間に耳を澄ます
LifeFlowでは、時間を忘れて夢中になり、最も力が発揮される状態を「フロー」と呼んでいます。フローの鍵となるのは、誰かに言われたからではなく「やりたいからやっている」という内発的な動機です。この感覚は、日常の中の小さな場面にも表れます。
たとえば、休日に家庭菜園の手入れをしているときだけは、時間があっという間に過ぎてしまうという人がいます。仕事では感じられない没頭感が、そこにはあるのかもしれません。それは、その人のコアやフィールドが自然に噛み合っている瞬間だと考えることもできます。
地域のボランティア活動や趣味のサークルで、思いがけず本領を発揮する人も少なくありません。50代からの働き方を考えるうえで、こうした「仕事以外で夢中になれること」を見逃さずに観察することは、大きなヒントになります。フローが起きる場所を知ることは、これからの働き方を選ぶための地図のようなものです。
これからの働き方への着地
50代からの働き方を考えるとき、私たちはつい「まだ間に合うか」「今から変えて大丈夫か」という不安から出発しがちです。しかし本当に見つめるべきは、これからのやり方以前に、自分がもともとどんな動力源を持っているかという土台の部分です。
転職や独立を考えている人も、今の職場に残る選択をする人も、出発点は同じです。長年積み重ねてきた経験の中から、自分のコアがどこで力を発揮してきたのか、そしてフィールドがどの方向に育ってきたのかを振り返ることで、これからの選択に迷いが少なくなっていきます。
50代は、これまでの人生を振り返る材料が十分に揃った、貴重な時期でもあります。だからこそ、頑張り方を変える前に、まず自分の動力源であるコアを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。それが、これからの働き方を静かに、けれど確かな形で照らしてくれるはずです。
この記事のまとめ
- 50代で働き方に感じる違和感は、頑張り方ではなく動力源とのズレが原因のことがある
- コアは生まれ持った動力源で、年齢や環境が変わっても生涯変わらない
- フィールドは経験の中で育つ「発揮の方向」で、50代からでも育て直せる
- 時間を忘れて夢中になれる瞬間は、自分の動力源を知る手がかりになる
- やり方を変える前に、まず自分のコアを知ることが、これからの働き方を考える出発点になる