仕事や人間関係で行き詰まったとき、多くの人が「環境を変えるべきか、自分を変えるべきか」という問いにぶつかります。答えが一つに定まらないこのテーマを、動力源という視点からゆっくり考えてみます。
なぜ「環境か自分か」で迷うのか
仕事や人間関係がうまくいかないとき、多くの人がこの問いにぶつかる。転職すべきか、それとも自分の考え方を変えるべきか。答えが一つに定まらないからこそ、何度も同じ場所で足踏みしてしまう。
例えば、上司との折り合いが悪くて毎朝憂うつになる人がいるとする。部署を異動すれば楽になるかもしれないし、逆に自分の受け止め方を変えれば同じ職場でも呼吸がしやすくなるかもしれない。どちらも正しく見えるからこそ、判断に迷う。
学び直しの場面で考えると分かりやすい。資格取得の勉強がうまくいかないとき、教材や学校が合っていないのか、自分の勉強法が合っていないのかを切り分けられず立ち止まる人は多い。実際には両方が絡み合っていることも少なくない。
この迷いが厄介なのは、環境のせいにしても自分のせいにしても、一時的には納得できてしまう点にある。しかし原因を見誤ったまま行動すると、同じ壁に何度もぶつかりかねない。だからこそ判断の軸をあらかじめ持っておくことが大切になる。
この問いに唯一の正解はない。ただ、判断の軸を持っているかどうかで、迷う時間の長さは大きく変わる。その軸のひとつが、自分がどんな時に力を発揮できるかを知っておくことだ。
環境を変えることで解決する場合
環境を変えるという選択は、根本的な相性の問題を解消できることがある。例えば、細かい作業をコツコツ積み重ねることに喜びを感じる人が、常に変化とスピードを求められる部署に配属されていたら、どれだけ努力しても疲弊するばかりだ。
子育ての場面でも似たことが起こる。静かな環境で集中したい子どもを、賑やかで刺激の多い教室にずっと置いておくと、本来の力が発揮しにくくなる。学び方に合った環境を選び直すだけで、驚くほど表情が変わることもある。
人間関係でも同じことが起こる。相手のペースに常に合わせなければならない関係の中にいると、本来穏やかに力を発揮できる人でも次第に疲弊してしまう。距離の取り方や付き合う相手を見直すだけで、心が軽くなることもある。
環境を変える価値は、苦痛を減らすことだけではない。自分に合った環境に身を置くことで、それまで発揮できなかった力が自然と表に出てくることがある。無理に耐え続けるより、早めに環境を見直す勇気が結果を左右することもある。
環境を変えるという選択は、決して逃げではない。自分の力が発揮しやすい場所を探すことは、むしろ主体的な選択である。無理に自分を変形させて合わせ続けるより、早く動いたほうが結果的に楽になる場合は多い。
自分を変えることが必要な場合
一方で、環境をいくら変えても同じ壁にぶつかる人もいる。転職を繰り返しても、人間関係の悩みが形を変えて現れる場合、問題は環境ではなく自分の受け止め方や習慣にあることが多い。
例えば、新しい職場に移るたびに「自分の意見が尊重されない」と感じてしまう人がいるとする。環境を変えても同じ感覚が続くなら、伝え方や期待の仕方など、自分の側にある要因を見直す価値がある。
子育ての場面にも当てはまる。習い事を変えても子どもが同じように飽きてしまう場合、環境ではなく取り組み方そのものが合っていない可能性がある。声かけや目標の立て方を見直すことで、同じ習い事でも続けられるようになることがある。
自分を変えるという言葉には抵抗を感じる人も多いが、それは自分を否定することではない。むしろ気づかなかった癖や思い込みに気づき、微調整を加えていく作業に近い。小さな変化の積み重ねが、大きな行き詰まりを解く鍵になることがある。
自分を変えるといっても、性格を根本から作り替える必要はない。行動の選び方や、力の使い方の向きを少し調整するだけで、同じ環境でも見える景色が変わることは多い。
フロー状態から見えてくるヒント
判断に迷ったときに役立つのが、自分がどんな時に時間を忘れて夢中になれるかという視点だ。LifeFlowではこの状態を「フロー」と呼ぶ。フローに入りやすい環境なのか、それとも自分の動き方が合っていないのかを分けて考えると、迷いが整理されやすい。
例えば、資料作りに没頭できる人が、会議ばかりで手を動かす時間が取れない環境にいるなら、それは環境の問題である可能性が高い。逆に、時間はあるのに集中できないなら、取り組み方そのものを見直したほうがいい。
家事や趣味の場面でもフローは見つけやすい。料理をしている間はあっという間に時間が過ぎるのに、書類仕事になると集中が続かないという人は、作業の種類によって力の出方が違うことに気づいているはずだ。この違いを観察するだけでも多くのヒントが得られる。
フローに入りやすい場面を振り返ることは、自分の動力源を知る手がかりにもなる。何度も夢中になれる活動には共通する要素が隠れていることが多い。それを言葉にしていく作業が、環境か自分かを見極める土台になっていく。
フローは内発的な動機、つまり「やりたいからやる」という気持ちから生まれる。義務感だけで動いているときは、環境を変えても自分を変えてもなかなかフローに入りにくい。
コアという動力源を知ることの意味
LifeFlowでは、生まれ持った力の源を「コア」と呼び、愛・楽・個・智・徳・才の6つに分けて捉える。性格とは違い、生年月日から導かれ、生涯を通じて変わらないとされる。
例えば、人との関わりの中で力が湧くコアを持つ人が、一人で黙々と作業する環境に長く置かれると、能力があっても発揮しづらくなる。逆に、探究することに力が湧くコアを持つ人には、じっくり考えられる環境そのものが力の源になる。
職場の会議で例えるなら、人との対話から力が湧くコアを持つ人は、議論が活発な場でこそ本領を発揮しやすい。一方で、一人で深く考えることに力が湧くコアを持つ人には、事前に資料を読み込む時間の方が大切になる。同じ会議でも力の出方は人によって異なる。
コアは性格診断のように人を決めつけるものではなく、あくまで力が湧く源を指し示すものだ。コアを知ったからといって行動が制限されるわけではなく、むしろ自分に合った関わり方を選びやすくなる。
コアを知っておくと、「今の苦しさは環境のせいなのか、自分の動き方のせいなのか」を切り分けやすくなる。動力源に合わない場所にいるのか、動力源はあっているのに使い方がずれているのか、見分ける手がかりになるからだ。
環境を変えるか自分を変えるかを決める前に、まず自分の動力源がどこにあるかを知っておく。それだけで、迷う時間はずっと短くなる。
環境と自分、両方を見る視点
実際には、環境と自分のどちらか一方だけを変えて解決することは少ない。多くの場合、両方を少しずつ調整しながら、自分に合う形を探していくことになる。
例えば、フィールドという「力の発揮の方向」も、経験の中で育っていく部分がある。革新・共鳴・継続・設計のどの方向が今の自分に合っているかを意識するだけで、環境を変えるべきか、自分の動き方を変えるべきかの判断がしやすくなる。
転職活動を例にすると分かりやすい。求人票の条件だけで環境を選ぶと、後になって「思っていたのと違う」と感じることがある。自分の動力源や力を発揮しやすい方向を理解した上で環境を選ぶと、同じ条件の仕事でも納得感を持って取り組めることが多い。
環境と自分を行き来しながら調整していく過程は、一度きりで終わるものではない。ライフステージや役割が変わるたびに、合う環境も力の発揮の仕方も少しずつ変化していく。だからこそ、変わらない部分であるコアを軸に持っておくことが、長い目で見たときの安心感につながる。
大切なのは、どちらか一つの答えに固執しないことだ。環境を変えてみて分かることもあれば、自分を変えてみて初めて見える景色もある。試しながら、自分の動力源に近づいていくプロセスそのものに意味がある。
そしてその出発点にあるのが、自分のコアを知ることだ。何に触れると力が湧くのかを知っていれば、環境を選ぶときも、自分の動き方を調整するときも、判断の軸がぶれにくくなる。
この記事のまとめ
- 「環境か自分か」に唯一の正解はなく、判断の軸を持つことが迷いを減らす
- 相性の合わない環境にいる場合は、環境を変えることが有効な選択になる
- 環境を変えても同じ悩みが続くなら、自分の受け止め方や行動を見直す価値がある
- 時間を忘れて夢中になれる「フロー」の有無が、環境か自分かを見極めるヒントになる
- 生まれ持った動力源=コアを知ることが、判断の軸をつくる出発点になる