「やりたいことがあるのに、なぜか体が動かない」——そんな感覚を抱いたことはないでしょうか。頭では分かっているのに一歩が踏み出せない。この記事では、その理由を才能診断の視点からひもとき、無理なく動き出すためのヒントを探っていきます。
なぜ「やりたいのに動けない」が起きるのか
やる気と行動のあいだにギャップがあると、多くの人はそれを「意志が弱いせい」だと考えがちです。しかし実際には、意志の強さの問題ではなく、動機の種類がずれていることが原因である場合が少なくありません。
頭で「やるべきだ」と分かっていることと、心が「やりたい」と感じていることは、似ているようでまったく別のものだからです。
たとえば、仕事で新しい企画のアイデアを温めているのに、なかなか手をつけられない人がいます。話を聞いてみると、その企画自体には強い関心があるのに、企画書という「型にはめる作業」に気が乗らないというケースがよくあります。やりたいことと、今やろうとしている作業の性質がずれているために、動けなくなっているのです。
もうひとつの視点として、エネルギーの向く先とタスクの性質が噛み合っていないという可能性もあります。人によって力が湧く瞬間はまったく違い、誰かと話しながら考えたい人もいれば、一人で静かに手を動かしたい人もいます。
自分がどちらのタイプなのかを知らないまま、世の中の「正しいやり方」に合わせようとすると、余計に動けなくなってしまいます。
動機の種類を見分ける—「やらなきゃ」と「やりたい」
動けない時によくあるのが、「やらなきゃ」という義務感だけで動こうとしている状態です。義務感そのものは悪いものではありませんが、それだけでは長く続かず、途中で息切れしてしまいます。一方で「やりたい」という気持ちは、内側から自然に湧いてくるもので、これを内発的動機と呼びます。
子育ての場面を例に考えてみましょう。子どもに「勉強しなさい」と言い続けても動かないのに、好きな図鑑を渡した途端に何時間も夢中で読み続けることがあります。
これは、外から与えられた「やらなきゃ」ではなく、内側から湧いた「やりたい」に火がついた瞬間だと言えます。大人になっても、この構造は変わりません。
自分の中の「やらなきゃ」と「やりたい」を見分けるには、その作業をしている時に時間を忘れるかどうかを観察してみるとよいでしょう。
時間を忘れて没頭できる状態のことを、LifeFlowでは「フロー」と呼んでいます。フローに入りやすい作業と入りにくい作業を書き出してみるだけでも、自分の動けない理由が少しずつ見えてきます。
大切なのは、動けない自分を責める前に、その作業が本当に自分の「やりたい」に沿っているかを一度立ち止まって確認することです。義務感だけで動こうとしていた自分に気づくだけでも、次に取るべき行動が変わってきます。
動力源としての「コア」という考え方
LifeFlowでは、人が生まれ持っている力の源のことを「コア」と呼んでいます。コアは性格とは違い、生年月日から決まり、生涯を通じて変わらないものだと考えられています。何に触れると力が湧き、何に触れると力が消耗するのか、その傾向を示すのがコアという考え方です。
コアには愛・楽・個・智・徳・才という六つの種類があり、それぞれ力が湧く場面が異なります。たとえば人との関わりの中で力が湧く人もいれば、一人で自由に発想している時に力が湧く人もいます。どちらが優れているという話ではなく、それぞれに得意な発揮のされ方があるだけです。
職場でよくあるのが、周囲と同じやり方を真似しているのに、なぜか自分だけ疲れてしまうという悩みです。これは能力の差ではなく、コアの違いによって力が湧く条件が違うために起きている現象だと考えると、腑に落ちる人も多いのではないでしょうか。自分のコアを知ることは、無理に他人のやり方に合わせるのをやめる第一歩になります。
動けないのは、やる気がないからではなく、力が湧く条件とやろうとしている作業がずれているだけかもしれません。
力の発揮の方向を決める「フィールド」
コアが「動力源」だとすれば、フィールドはその力を「どう発揮するか」という方向を示すものです。LifeFlowでは、革新・共鳴・継続・設計という四つの方向があるとされており、これは生まれ持ったものではなく、経験の中で育っていくものだと考えられています。
同じコアを持っていても、フィールドが違えば力の出し方はまったく異なります。たとえば新しいアイデアを次々に生み出すことに力を発揮する人もいれば、決まった手順をコツコツ積み重ねることに力を発揮する人もいます。どちらも同じくらい価値のある発揮の仕方です。
学びの場面で考えてみると分かりやすいかもしれません。同じ資格の勉強をしていても、テキストを一から丁寧に読み進める人もいれば、まず問題を解きながら感覚をつかんでいく人もいます。
これはやる気の差ではなく、フィールドの違いによる自然な学び方の差だと捉えると、自分のペースを責めずに済みます。
フローに入るための小さな工夫
フローという時間を忘れて夢中になれる状態は、特別な人だけのものではなく、誰にでも訪れる可能性があります。ただし、そこに入るためには環境や作業の設計を少し工夫する必要があります。大きく変えようとするよりも、小さな工夫の積み重ねの方が効果的です。
たとえば日常の中で、朝の静かな時間に集中したい作業を持ってくるだけで、驚くほどスムーズに進むという人がいます。
逆に、人と話しながらの方がアイデアが湧く人にとっては、一人で黙々と資料を作る時間は苦痛でしかありません。自分がどちらの環境で力が湧くのかを知っておくことは、動けない状態を減らす大きな助けになります。
また、作業を始める前のハードルを下げることも有効です。「やりたいこと」の手前に面倒な準備が多すぎると、それだけで気力が削がれてしまいます。子どもが好きな遊びに夢中になれるのは、遊び始めるまでの手間が少ないからだという視点も、大人の作業設計に応用できるでしょう。
動けない自分を責めないために
やりたいことがあるのに動けない時、多くの人はまず自分を責めてしまいます。しかし、これまで見てきたように、動けない理由は意志の弱さではなく、動機のずれや環境との噛み合わせの問題であることがほとんどです。責める前に、まず構造を疑ってみる姿勢が大切です。
人間関係の中でも同じことが言えます。誰かと一緒に取り組んだ方が力が湧く人にとって、一人で完結させようとする働き方は、それだけで大きな負担になります。逆に一人の時間で力を蓄えるタイプの人が、常に誰かと一緒に動くことを求められれば、当然疲れてしまいます。
結局のところ、動けない状態から抜け出す一番の近道は、自分の動力源であるコアを知ることに戻ってきます。何に触れると自分の力が自然に湧き、どんな方向でその力を発揮しやすいのかを知ることで、無理に頑張らなくても自然と動ける場面が増えていくはずです。
この記事のまとめ
- 動けないのは意志の弱さではなく、動機の種類のずれが原因のことが多い
- 「やらなきゃ」と「やりたい」を見分けることが最初の一歩になる
- 力が湧く条件は人によって違い、それを示すのが生まれ持った動力源「コア」
- 力の発揮の方向である「フィールド」は経験の中で育っていく
- 動けない自分を責める前に、自分のコアを知ることが遠回りに見えて一番の近道になる