新しい習慣を始めても三日で終わってしまう。そんな経験は誰にでもあるものです。でもそれは、あなたの意志が弱いからではないかもしれません。続け方が、そもそも自分に合っていないだけということがよくあります。

「三日坊主」は意志の弱さではない

新しい習慣が続かないとき、多くの人はまず「自分は意志が弱いのだ」と考えてしまいます。手帳に書いた目標が数日で忘れられ、部屋の隅に置かれたヨガマットが埃をかぶる。そのたびに自己嫌悪が積み重なり、次の挑戦への腰も重くなっていきます。しかし、続かない理由を意志力だけに求めるのは、実はあまり正確ではありません。

たとえばダイエットのために毎朝のジョギングを始めた会社員がいたとします。最初の3日間は頑張って走ったものの、4日目からは布団の中で「今日はいいか」と思ってしまう。同じように早起きしてジョギングを始めた同僚は、なぜか半年経っても続けている。同じ方法、同じ意志の強さのように見えても、続く人と続かない人が分かれるのです。

これは性格の違いというより、そもそも何に触れたときに力が湧くかという、もっと根本的な部分の違いによるところが大きいと考えられます。やる気の出し方や継続の仕方には、その人が生まれ持った土台のようなものが関わっているのです。だからこそ、続かないことを責める前に、その方法が自分に合っていたかどうかを見直す価値があります。

動力源という視点で見てみる

LifeFlowでは、人には生まれ持った「動力源」があると考えます。これは性格とは違い、何に触れると自分の中に力が湧くかという、その人固有のエネルギーの源です。動力源には愛・楽・個・智・徳・才という6つのタイプがあり、それぞれ力が湧く瞬間が異なります。

たとえば新しさや変化に触れたときに力が湧くタイプの人にとって、毎日全く同じジョギングコースを走ることは、次第に退屈な作業になっていきます。一方で、誰かの役に立っている実感があると力が湧くタイプの人であれば、同じジョギングでも「一緒に走る友人がいる」「健康を通じて家族を安心させたい」という理由づけがあると、自然と続けやすくなります。

子どもの読書習慣づけを例にするとわかりやすいかもしれません。ある親は「毎日30分読書する」というルールを決めて子どもに守らせようとしましたが、なかなか定着しませんでした。しかし子どもが夢中になれる図鑑や漫画から始め、興味の赴くままに読ませるようにしたところ、いつの間にか読書自体が習慣になっていたそうです。ルールよりも先に、その子の力が湧く入り口を探すことが効いたのです。

方向性との掛け合わせで続け方が変わる

動力源だけでなく、その力をどう発揮するかという「方向」も、継続のしかたに大きく関わってきます。LifeFlowではこの方向を革新・共鳴・継続・設計の4つで捉えます。同じ動力源を持っていても、発揮する方向が違えば、続けやすい環境や工夫も変わってくるのです。

資格試験の勉強を続けたい会社員を例にしてみましょう。計画や仕組みを整えることに力が発揮されやすい方向の人であれば、学習スケジュール表を細かく作り、毎日のノルマを可視化するだけで自然と手が動きます。一方で、人との関わりの中で力が発揮されやすい方向の人であれば、一人で黙々と机に向かうよりも、勉強会に参加したりオンラインで進捗を報告し合ったりする方が、驚くほど続きやすくなります。

どちらが優れているという話ではありません。大切なのは、自分がどちらの方向で力を発揮しやすいかを知り、それに合わせて環境を選ぶことです。世の中にある「継続のコツ」がうまくいかなかったとしても、それは方法が間違っているのではなく、自分の方向と噛み合っていなかっただけかもしれません。

続かないのは、あなたが弱いからではなく、続け方が自分の動力源とかみ合っていなかっただけかもしれません。

時間を忘れて夢中になる状態をつくる

LifeFlowでは、時間を忘れて夢中になり、最も力が発揮される状態を「フロー」と呼びます。フローに入っている人は、義務感や我慢ではなく、内側から湧き出る「やりたいから」という気持ちで動いています。この内発的な動機こそが、継続を支える一番の土台になります。

週末になると庭いじりに何時間も没頭してしまう人がいます。本人に聞くと「気づいたら夕方になっていた」と笑います。誰かに強制されたわけでもノルマがあるわけでもないのに、なぜか続いてしまう。これがまさにフローの状態で、続けようと意識する必要すらないほど自然に体が動いているのです。

逆に言えば、続けたいと思っている習慣が「義務感」ばかりで進んでいるなら、それは長続きしにくいサインかもしれません。ジョギングを「痩せなければならないから」という理由だけで続けるより、「体を動かすと頭がすっきりして気持ちがいいから」という感覚に近づけていく方が、フローに入りやすくなります。動機の性質を少し変えるだけで、続けやすさは大きく変わってくるのです。

日常でできる具体的な工夫

継続のためによく言われる「完璧を目指さない」「環境を整える」といった工夫は、確かに有効です。ただ、それらを自分の動力源に合わせて調整すると、さらに効果が高まります。たとえば記録することが力になるタイプの人は、数字での記録よりも写真での記録に変えるだけで続けやすくなることがあります。

家計簿が続かなかった主婦の例があります。毎月の支出を数字で細かくつけることに疲れてしまい、何度も挫折していました。ところが、レシートを写真に撮って月末に眺めるだけのゆるい方法に変えたところ、半年以上続いているそうです。数字の管理そのものよりも、変化を「見て感じる」ことに力が湧くタイプだったのかもしれません。

子育ての場面でも同じことが言えます。宿題を毎日決まった時間にやらせようとしてもうまくいかない子に、ゲーム感覚でタイマーを使わせたり、終わったらシールを貼れるようにしたりすると、驚くほどすんなり取り組むようになることがあります。方法自体は目新しくなくても、その子の力が湧く入り口を見つけられたかどうかで、結果は大きく変わってくるのです。

自分の動力源を知ることが一番の近道

世の中には数え切れないほどの「継続のコツ」が存在します。しかしどれだけ優れた方法でも、自分の動力源やフローの入り口と噛み合っていなければ、長くは続きません。逆に言えば、自分に合った方法さえ見つかれば、無理に頑張らなくても自然と続けられるようになるということです。

三日坊主を責める前に、一度立ち止まって「自分は何に触れたときに力が湧くのか」「どんな方向で力を発揮しやすいのか」を考えてみることをおすすめします。それは意志の強さを鍛えることよりも、ずっと近道になるはずです。

自分の動力源を知ることは、続けるための特別な技術を身につけることではなく、もともと自分の中にある力の湧き出し方に気づくことに近いものです。その気づきがあれば、これまでうまくいかなかった習慣も、案外あっさりと続いていくかもしれません。

この記事のまとめ
  • 三日坊主は意志の弱さではなく、続け方が自分に合っていない可能性がある
  • 人には生まれ持った動力源(コア)があり、力が湧く瞬間が異なる
  • 力を発揮する方向(フィールド)によって、続けやすい環境も変わる
  • 義務感ではなく内発的な動機で動く「フロー」の状態が継続を支える
  • 自分の動力源を知ることが、無理なく続けるための一番の近道になる