好きなことを仕事にすべきか。この問いに何年も立ち止まる人は多く、答えは一つではありません。今日は焦らず、順番に整理していきます。
「好きなことを仕事に」という問いが揺れる理由
就職や転職の場面で、必ずと言っていいほど出てくるのがこの問いです。好きなことを仕事にすれば幸せになれるという話もあれば、趣味は趣味のままがいいという話もあります。
どちらの意見も、誰かの実体験に基づいているため、簡単には否定できません。だからこそ、聞くたびに迷いが深くなってしまうのです。
たとえば料理が好きな人が、その好きを仕事にして料理人になった場合と、週末だけ楽しむ場合とでは、同じ「好き」でも結果が大きく変わります。
この違いを生むのは、本人の努力や才能だけではありません。好きという気持ちの中身と、それをどう発揮するかという部分が関わっています。
LifeFlowでは、この部分を「コア」と「フィールド」「コンパス」という視点で分けて見ます。好きの正体を知ることが、答えに近づく最初の一歩です。
「好き」には種類がある——動力源としての好きと、技術としての好き
「好き」という言葉は便利ですが、実は中身が一つではありません。触れると力が湧く「動力源としての好き」と、得意でやっていて気持ちがいい「技術としての好き」は別物です。
たとえば絵を描くことが好きな人の中にも、誰かに見てもらいたくて描く人と、一人で黙々と描く時間そのものが好きな人がいます。どちらも「絵が好き」ですが、湧いてくる力の源は違います。
LifeFlowでは、生まれ持った動力源を「コア」と呼び、愛・楽・個・智・徳・才の6つに分けて考えます。これは性格ではなく、生年月日から決まり、生涯変わらないものとして扱います。
技術としての好きは、経験の中で磨かれていきますが、動力源としての好きは根っこにあって動きません。この違いを知らないまま「好きを仕事に」と考えると、途中ですれ違いが起こります。
たとえば人と話すのが得意だから営業職を選んだものの、本当は一人で物事を深く考えることに力が湧くタイプだった、ということもあります。表面の得意と、根っこの好きがずれていたケースです。
だからこそ、仕事選びの前に「自分はどこに力が湧くのか」を知ることが、遠回りのようで実は近道になります。
好きを仕事にする前に、その好きがどこから湧いているのかを知ることが、遠回りに見えて一番の近道になります。
仕事にして輝く人、輝かない人の違い
同じ「好きなことを仕事にした」はずなのに、生き生きしている人と、だんだん疲れていく人がいます。この差は、好きの強さの問題ではなく、噛み合う場にいるかどうかの問題であることが多いです。
たとえば子どもが好きで保育の仕事に就いた人の中にも、一人ひとりとじっくり関わることに力が湧く人と、大勢を前にして場を盛り上げることに力が湧く人がいます。同じ職種でも、求められる動き方は現場によって違います。
前者がクラス全体を仕切る役割を任されると、好きなはずの仕事なのに、なぜか消耗してしまいます。逆に後者が一対一の丁寧な関わりを求められると、同じように空回りしてしまいます。
これは本人の能力不足ではなく、力を発揮する「方向」や「役割」が合っていないだけ、というケースがほとんどです。LifeFlowではこの方向を「フィールド」、役割を「コンパス」と呼び、コアと掛け合わせて見ていきます。
コア×コンパスの組み合わせは48通りあり、たとえば「愛の育成者」のように名前がつきます。細かな中身は専門的な診断の領域になりますが、ここで大切なのは、好きだけでは説明できない部分がある、ということです。
仕事選びの悩みを「好きか嫌いか」だけで判断しようとすると、この噛み合いの問題が見えなくなってしまいます。
フィールドとコンパス——「好き」をどう発揮するかで結果が変わる
好きなことを仕事にしても疲れてしまう人の多くは、好きの「発揮のしかた」が自分に合っていません。たとえば文章を書くことが好きな人でも、新しいテーマを次々生み出す発揮のしかたが合う人と、一つのテーマを長く丁寧に深める発揮のしかたが合う人がいます。
前者がルーティンの記事を淡々と書く仕事に就くと、好きなはずの文章仕事なのに物足りなさを感じます。後者が常に新規性を求められる仕事に就くと、落ち着かず疲れてしまいます。
LifeFlowでは、この発揮の方向を革新・共鳴・継続・設計という4つのフィールドで捉えます。好きという気持ちは同じでも、どの方向で発揮するかによって、満足感はまったく違ってきます。
たとえば子育てでも、新しい遊びをどんどん考える関わり方が合う親もいれば、決まった習慣を積み重ねていく関わり方が合う親もいます。どちらも子どもを思う気持ちは同じでも、心地よさの形は違います。
仕事選びでも同じことが起きます。好きな分野を見つけたら、その中でどんな発揮のしかたが自分に合うのかまで考えると、選択の精度がぐっと上がります。
これは一度で正解が分かるものではなく、実際に働きながら少しずつ輪郭がはっきりしていくものでもあります。
フローレベルで見る「今の働き方」
好きを仕事にするかどうかと同じくらい大切なのが、今の働き方がどんな「乗り方」になっているかです。LifeFlowでは、これをフローレベルという4段階で見ます。
上から「フロー」は自由に選んでいる状態、「解放」は決めて引き受けている状態、「ループ」はやるけれど決めていない状態、「制約」は言うだけでやっていない状態です。これは優劣ではなく、今どう流れに乗っているかを示すものです。
たとえば好きな仕事に就いたはずなのに、気づけば頼まれた仕事をこなすだけになっている人は、ループの状態に近いかもしれません。やりがいがあるはずなのに、どこか他人任せな感覚が残ります。
逆に、好きではじめたことではなくても、自分で決めて引き受け、工夫しながら続けている人は、解放に近い状態で働いています。好きかどうかより、こうした乗り方の違いが、日々の充実感を左右します。
段階は時間が経てば自然に上がるものではなく、やることを減らし、自分で選び直したときに上がっていきます。好きなことを仕事にしたのに苦しいと感じたら、量を見直すサインかもしれません。
そして一度身につけた乗り方は簡単には消えないので、たとえ今が制約に近くても、戻る道は必ず残っています。
答えは一つではない——コアを知ることから始める
ここまで見てきたように、「好きなことを仕事にすべきか」という問いには、万人共通の正解がありません。答えを出すためには、自分の好きの中身と、発揮のしかたを知る必要があります。
好きなことを仕事にして輝く人もいれば、趣味として大切にしながら別の仕事で力を発揮する人もいます。どちらが正しいかではなく、自分の動力源に合っているかどうかが分かれ道になります。
たとえば人の成長を見守ることに力が湧く人は、教育の仕事でなくても、部下育成や子育ての中でその力を発揮できます。好きなことを仕事にしなくても、コアに沿った生き方はつくれるということです。
逆に言えば、好きなことを仕事にしたとしても、コアとずれた発揮のしかたを続けていれば、いずれ疲れが溜まっていきます。だからこそ、仕事選びの入り口で立ち止まる価値があります。
LifeFlowでは、この動力源を6つのコアとして捉え、そこに合う方向と役割を診断の中で見ていきます。好きという気持ちを否定せず、その奥にある自分の動力源を知ることが、遠回りのようで一番確かな道です。
焦って答えを出す必要はありません。今日からでも、自分がどこに力が湧くのか、少しずつ観察してみることから始めてみてください。
この記事のまとめ
- 「好きなことを仕事にすべきか」に万人共通の正解はない
- 「好き」には動力源としての好きと技術としての好きがある
- 仕事で輝くかどうかは好きの強さより発揮する場との噛み合いで決まる
- フィールドとコンパスで発揮のしかたまで考えると選択の精度が上がる
- 今の働き方のフローレベルを見直すことも、好きと同じくらい大切