学び直したいと思うのに、なぜか長続きしない。参考書を買って、講座に申し込んで、それでも数週間で止まってしまう。そんな経験がある人へ、続く学びのはじめかたを考えてみたい。
なぜ今、学び直しをしたくなるのか
学び直したいという気持ちは、ある日突然わいてくるものではない。仕事のやり方が変わった、子育てが少し落ち着いた、あるいは今までのキャリアの先が見えてきた。そうした変化のなかで、これまで使ってこなかった力を試したくなる瞬間が訪れる。
たとえば、40代で長年同じ部署にいた人が、社内の異動をきっかけにデータ分析を学び直したいと考え始めることがある。最初は必要に迫られてのことでも、少しずつ「知りたい」という気持ちが芽生えてくる。この芽生えこそが、学び直しの本当の出発点だ。
子育てが一段落した女性が、資格ではなく「ウェブデザイン」という言葉に心が動き、独学を始めるということもよくある。周りからは唐突に見えても、本人の中では長い時間をかけて育ってきた関心だったりする。きっかけは外から来ても、動き出す理由は内側にあることが多い。
この欲求は決して特別なものではなく、多くの人が同じように感じている。むしろ、何かを学び直したいと思えることは、自分の中にまだ動かせる力が残っている証でもある。問題は、その気持ちをどう形にするかにある。
続かないのは「やり方」ではなく「入り口」の問題
学び直しに挑戦して途中でやめてしまうと、多くの人は自分の意志の弱さを責めてしまう。しかし実際には、続かない原因はやり方の選び方以前に、そもそもの入り口にあることが多い。
たとえば、資格取得のための講座に申し込んだものの、教材が届いた時点で気力が失われてしまうことがある。これは能力の問題ではなく、「取得すべきだから」という外側からの理由だけで始めてしまったために起きる。
似た例として、英会話教室に通い始めても数回で足が遠のいてしまう人が、字幕なしで海外ドラマを見たいという一心で独学を続けているということがある。教材の質や指導者の腕前が理由ではなく、学びの発火点がどこにあったかの違いにすぎない。同じ英語という対象でも、入り口が違えば結果は大きく変わる。
一方で、同じ人が趣味で始めた語学アプリは、気づけば半年続いていたりする。違いは難易度ではなく、始めた理由が自分の内側から出ているかどうかにある。学び直しの入り口を選ぶときには、この違いを見極める必要がある。
入り口を見極めるには、「なぜやりたいのか」を一度だけでも自分に問い直してみるとよい。答えが「必要だから」だけで終わるなら、続けるための工夫を別に用意しておいた方がいい。答えに「知りたい」「試したい」という言葉が混ざっているなら、そこにはすでに続く土台があると考えてよいだろう。
フロー状態から見る、学びが続く条件
LifeFlowでは、時間を忘れて夢中になり、最も力が出る状態を「フロー」と呼んでいる。学び直しが続くかどうかは、この状態に入れるかどうかに大きく関わっている。
同じ「勉強」という言葉でも、内容によって感覚は大きく異なる。プログラミングのコードを書いていると気づけば深夜になっている人もいれば、簿記の教科書を開くと数ページで眠くなってしまう人もいる。この差は根気の差ではなく、フローに入りやすい対象かどうかの差だ。
主婦がパン作りのレシピ本を読み込み、粉の配合を何度も試すうちに気づけば夜になっているという話もよく聞く。同じ人が資格試験のテキストを開くと三十分も持たないことがあるが、それは怠けているのではなく、対象そのものが違うからだ。フローに入れる対象を見つけることは、努力の量を増やすことよりもずっと効果が大きい。
内発的な動機、つまり「やりたいからやる」という感覚があるとき、学びは苦労という顔をあまり見せない。逆に「やらなければ」という感覚が強いときは、どれだけ真面目に取り組んでも長続きしにくい。学び直しを考えるときは、まずこの感覚に注目してみてほしい。
コアで変わる、学びとの向き合い方
LifeFlowでは、生まれ持った動力源を「コア」と呼び、愛・楽・個・智・徳・才の六つに分けて考えている。これは性格診断ではなく、生年月日から決まり、生涯変わらないものとして扱われる。学び直しの向き合い方にも、このコアの違いが自然と表れる。
たとえば、コアが「智」の人は、体系や理論を理解することそのものに喜びを感じやすく、まず全体像を把握してから細部に進む学び方が合う傾向がある。一方でコアが「徳」の人は、誰かの役に立つという実感が学びを支えることが多く、人に教えながら学ぶ方法の方が長続きしやすい。
コアが「楽」の人は、楽しさや新しい体験そのものが動機になりやすく、堅苦しい教材よりも実際に手を動かす形の学びに向いている。コアが「才」の人は、結果や成果が見える形で示されると力が湧きやすく、小さな成功体験を積み重ねる設計が効果的だ。
コアが「個」の人は、誰かのやり方をなぞるより自分なりの方法を見つけたときに一気に力が湧くことが多く、既存の教材から一部だけ取り入れて自己流に組み替えることを好む。コアが「愛」の人は、家族や身近な人のために学ぶという理由がある方が続きやすく、子どものために資格を取る、といった形が自然に力になる。
どのコアが優れているという話ではなく、どこから力が湧くかが人によって違うという話にすぎない。この違いを知らずに一般的な「正しい学び方」を当てはめようとすると、無理が生じやすくなる。実際、周囲に勧められた学び方が全く合わず、自分を責めてしまう人も少なくないが、それはコアの違いを知らなかっただけのことも多い。
フィールドという「学びの発揮方向」
コアが「何に力が湧くか」を示すのに対して、フィールドはその力を「どう発揮するか」という方向を示す。LifeFlowではこれを革新・共鳴・継続・設計の四つの方向で捉えている。こちらは経験の中で育っていくものだ。
革新の方向が強い人は、新しいやり方を試すことに学びの醍醐味を感じやすく、既存の教材をそのまま使うより、自分なりに組み替えることを好む。共鳴の方向が強い人は、誰かと一緒に学ぶことで理解が深まりやすく、勉強会や読書会のような場が力になる。
継続の方向が強い人は、毎日同じ時間に少しずつ積み上げることに安心感を覚え、資格試験のような長期の学びに強さを発揮する。設計の方向が強い人は、学ぶ内容を自分なりに整理し、体系立てて理解することに満足を感じる。たとえば料理を学び直す場合でも、革新型は新しいレシピをどんどん試し、継続型は同じ料理を繰り返し作って腕を磨くという違いが出てくる。
職場のプロジェクトで新しいツールを学ぶ場面を想像すると、この違いはさらにはっきりする。革新型のメンバーはとにかく触ってみて使い方を体で覚えようとし、設計型のメンバーはマニュアルを整理してチーム全体の理解を助ける役に回る。どちらも同じツールを学んでいるのに、力の発揮の仕方はまったく違う。
フィールドはコアと違って経験の中で育つものなので、若い頃に共鳴型だった人が、年齢を重ねるうちに継続型の学び方を好むようになることもある。今の自分がどの方向に力を発揮しやすいかを知っておくと、学び方の選択に迷ったときの手がかりになる。
学び直しの第一歩は、自分を知ることから
何を学ぶかを決める前に、自分がどこで力が湧き、どの方向に発揮しやすいのかを知っておくと、学び直しの計画はずいぶん立てやすくなる。教材の選び方や学ぶ時間の組み方さえ、これによって自然と変わってくる。
子育てが一区切りついて仕事に戻ろうとしている人が、周りに勧められた資格の勉強を始めてすぐに苦しくなってしまうことがある。それは資格そのものが悪いわけではなく、自分の動力源と噛み合っていないだけかもしれない。一度立ち止まって、自分がどんなときに時間を忘れて取り組めるかを振り返ってみると、次に選ぶ学びの方向が見えてくることがある。
定年を迎えて新しいことを始めたいと考えている人が、周囲に勧められた囲碁や書道になじめず、実は昔から好きだった機械の分解の方が今も夢中になれると気づくこともある。長い時間をかけて自分の外側から与えられた「学ぶべきもの」を優先してきた人ほど、この振り返りには意味がある。決して遅すぎるということはない。
学び直しは、新しい自分になるための作業ではなく、もともと持っている力をもう一度使い始める作業に近い。その力の在り処を知ることが、遠回りのようで実は一番の近道になる。LifeFlowの診断は、その動力源を確かめるための、ひとつの手がかりとして使ってもらえたらと思う。
- 学び直しが続かないのは意志の弱さではなく、入り口の選び方の問題であることが多い
- 時間を忘れて夢中になれる「フロー」状態が、学びを続ける鍵になる
- 生まれ持った動力源「コア」によって、力が湧く学び方は人それぞれ違う
- フィールド(革新・共鳴・継続・設計)は、その力をどう発揮するかの方向を示す
- 何を学ぶか決める前に、自分の動力源を知ることが遠回りに見えて実は近道になる
