在宅勤務が広がってから、多くの人が「自由になったはずなのに、なぜか力が出ない」と感じています。同じ環境でも心地よく働ける人と、そうでない人がいるのは、性格の違いだけではなく、もともと持っている動力源のありかたが関係しているのかもしれません。この記事では、その違いをやさしく紐解いて⁠い⁠き⁠ま⁠す⁠。

在宅勤務で感じる「合わない」の正体

通勤がなくなり、服装も自由になり、条件だけを見れば働きやすくなったはずなのに、以前より集中できない、やる気が続かないと感じる人は少なくありません。ある会社員は、オフィスにいた頃は残業しても平気だったのに、自宅では定時前から疲れてしまうと話して⁠い⁠ま⁠し⁠た⁠。

これは決して怠けているわけではなく、環境と自分の力の湧き方がずれているために起きている現象だと考えると、少し気持ちが軽くなります。人にはそれぞれ、何に触れると力が湧くかという生まれ持った動力源があり、それは性格とは別の、もっと根っこにある部⁠分⁠で⁠す⁠。

例えば、誰かと直接顔を合わせて会話することで元気が出る人もいれば、静かな環境で一人で考えることに力が湧く人もいます。在宅勤務という同じ制度でも、この違いによって受け取り方がまったく変わってく⁠る⁠の⁠で⁠す⁠。

「合わない」と感じたときにまず大切なのは、自分を責めるのではなく、その違和感がどこから来ているのかを丁寧に見ていくことです。次の章では、この動力源、LifeFlowでいう「コア」について詳しく見て⁠い⁠き⁠ま⁠す⁠。

コア(動力源)によって心地よい働き方は違う

LifeFlowでは、生年月日から決まり生涯変わらない動力源を「コア」と呼び、愛・楽・個・智・徳・才の六つに分けて考えます。これは性格診断ではなく、何に触れたときに自然と力が湧くかという、もっと土台に近い部分を表すも⁠の⁠で⁠す⁠。

例えば、静かに一つのことを深く考えることに力が湧く人は、在宅勤務の静けさが心地よく感じられることが多いでしょう。一方で、人と言葉を交わし、相手の反応を感じることで力が湧く人にとっては、誰もいない部屋で黙々と作業する時間が、思った以上に消耗するものにな⁠り⁠ま⁠す⁠。

ある企画職の女性は、オフィスでは同僚とのちょっとした会話から企画のヒントを得ていましたが、在宅になってからそのやりとりがなくなり、アイデアが出にくくなったと感じていました。これは能力が落ちたわけではなく、力が湧く経路が塞がれてしまっただけだっ⁠た⁠の⁠で⁠す⁠。

コアは生涯変わらないからこそ、働き方が変わっても自分の土台を知っておくことは、環境に振られすぎない安心材料になります。次に見ていくのは、そのコアをどう発揮するかという「フィールド」の視⁠点⁠で⁠す⁠。

フィールドという発揮の方向が合わないと集中できない

LifeFlowでは、コアという動力源をどう発揮するかの方向を「フィールド」と呼び、革新・共鳴・継続・設計の四つで捉えます。フィールドは経験の中で育っていくもので、同じコアを持つ人同士でも、得意な発揮の仕方は違っ⁠て⁠き⁠ま⁠す⁠。

例えば、自分でスケジュールを組み立て、決めた手順を積み重ねていくことに力を発揮する人は、在宅勤務の自由度がむしろありがたく感じ⁠ら⁠れ⁠ま⁠す⁠。

反対に、誰かの反応や場の雰囲気を感じながら動くことが得意な人は、画面越しの会議だけではその感覚を得づらく、力が発揮しにくく⁠な⁠り⁠ま⁠す⁠。

在宅勤務が合わないのは、努力が足りないからではなく、力を発揮する方向とその環境が噛み合っていないだけかもしれません。

あるチームリーダーは、雑談混じりの立ち話から部署全体の空気を読み取り、必要なタイミングで声をかけることを得意としていましたが、在宅になってからその機会が消え、判断のタイミングを掴みにくくなったと感じていました。これはフィールドと働き方の噛み合わせの問題として捉えると、次にできる工夫が見え⁠て⁠き⁠ま⁠す⁠。

フローが途切れると疲れやすくなる

LifeFlowでは、時間を忘れて夢中になり最も力が出る状態を「フロー」と呼びます。フローに入るためには、やりたいからやるという内発的な動機が鍵になり、外から強制された作業ではなかなか起きにくいも⁠の⁠で⁠す⁠。

在宅勤務では、家事の合間に仕事を挟んだり、チャットの通知で作業が中断されたりと、フローに入る前に途切れてしまう場面が増えがちです。ある在宅ワーカーは、資料作成に集中し始めた瞬間に子どもの声で呼ばれ、また最初から集中を組み立て直す毎日に疲れを感じて⁠い⁠ま⁠し⁠た⁠。

オフィスでは、周囲が働いている空気や、決まった時間に始まる会議が、ある種のリズムを外から与えてくれて⁠い⁠ま⁠し⁠た⁠。

そのリズムがなくなった在宅勤務では、自分でフローに入るきっかけを作る必要があり、これは環境の変化というより、力の湧かせ方そのものの調整だと考えると腑に落ちやすく⁠な⁠り⁠ま⁠す⁠。

フローが途切れがちな人ほど、在宅勤務に「合わない」という感覚を強く持ちやすいのは、決して気合いの問題ではなく、力の発揮の仕方が環境と噛み合っていないという、自然な反応⁠な⁠の⁠で⁠す⁠。

日常の中に現れるヒント

子育てをしながら在宅勤務をしている人の中には、子どもが小さいうちは自宅の方が安心だったのに、成長するにつれて仕事に集中できる時間が減り、逆にストレスが増えたと話す人がいます。これは環境の善し悪しではなく、コアやフィールドと生活の変化との組み合わせが変わったために起きているこ⁠と⁠で⁠す⁠。

一人暮らしをしている人の中には、誰とも話さない一日が続くことで、じわじわとやる気が落ちていくのを感じる人もいます。反対に、誰かと話す時間があると仕事へのやる気が戻ってくるという場合、それはその人にとって人との関わりが力の源になっている証拠かもし⁠れ⁠ま⁠せ⁠ん⁠。

学びの場面でも似たことが起きます。オンライン講座を一人で黙々と進めるのが得意な人もいれば、グループで議論しながらでないと理解が深まらない人もいて、これも動力源の違いとして捉えると納得しやすく⁠な⁠り⁠ま⁠す⁠。

在宅勤務を見直すためにできること

まず試してみたいのは、一週間のうち一日だけ働き方を変えてみることです。例えば、いつも一人で作業している人が、その日だけ誰かと短い電話を入れてみる、逆に人と話す時間が多い人が、あえて静かな時間を確保してみるといった小さな実験から、自分に合う配分が見え⁠て⁠き⁠ま⁠す⁠。

また、在宅勤務そのものをやめるかどうかではなく、どの部分が心地よく、どの部分が消耗するのかを分けて考えることも大切です。会議はオンラインでも平気だけれど、資料作りは誰かのそばでやりたい、というように具体的に切り分けると、無理なく調整できる部分が見つ⁠か⁠り⁠ま⁠す⁠。

こうした違和感は、環境を責めても、自分を責めても、なかなか解消しません。根っこにある自分の動力源、つまりコアを知ることで、どんな環境なら力が湧くのか、どんな工夫が自分に合うのかが、少しずつ見えてくる⁠は⁠ず⁠で⁠す⁠。

在宅勤務が合わないと感じたときこそ、自分の外側の制度を見直す前に、自分の内側にある動力源に目を向けてみる、良い機会なのかもし⁠れ⁠ま⁠せ⁠ん⁠。

この記事のまとめ
  • 在宅勤務への違和感は甘えではなく、動力源と環境のずれから起きることが多い
  • コア(愛・楽・個・智・徳・才)によって、静けさが心地よい人と人との関わりが必要な人がいる
  • フィールド(革新・共鳴・継続・設計)の違いで、自由な環境が力になるか消耗になるかが変わる
  • フローが途切れやすい在宅勤務では、自分でリズムを作る工夫が必要になる
  • 働き方を見直す第一歩は、自分のコアを知ることから始まる