「若いうちにやっておくべきこと」と聞くと、つい焦ってリストを作りたくなる。けれど本当に効くのは、経験の数より自分の動力源を知ることだったり⁠す⁠る⁠。

「やっておくべきこと」に焦ってしまう理由

SNSを開くと、同世代の誰かが留学したり起業したり、何かを成し遂げている様子が目に入る。それを見て「自分は何もしていない」と不安になった経験は、誰にでもあるのではないだろ⁠う⁠か⁠。

この焦りの正体は、実は「やること」そのものではなく「何のためにやるか」が見えていないことにある。やることリストを増やしても、芯がなければ疲れるだけで終わってし⁠ま⁠う⁠。

たとえば資格を三つ取った人と、一つの仕事をじっくり深めた人を比べて、どちらが正解とは言えない。大事なのは数ではなく、その人の力が素直に出ていたかどう⁠か⁠だ⁠。

就職活動を控えた学生が、とにかく経験を増やそうとインターンを五社掛け持ちして疲れ切ってしまう、というのもよくある光景だ。数をこなすこと自体が目的になってしまうと、何も残らないまま時間だけが過ぎて⁠い⁠く⁠。

LifeFlowでは、力が湧く源を「コア」と呼ぶ。これは生まれつき決まっていて、性格とは違い、生涯変わらないとされて⁠い⁠る⁠。

若いうちに焦って何かを積み上げる前に、まず自分がどんなことに触れると力が湧くのかを知っておくと、その後の選択が楽にな⁠る⁠。

経験の量より、動力源を知ることが先

「若いうちに色々経験しておけ」とはよく言われる。これ自体は間違いではないが、経験をただ積むだけでは、何が自分に合うのかが分からないまま終わることも多⁠い⁠。

たとえば営業職に配属された新人が、人と話すことに疲れてしまうタイプだったとする。本人は「向いていない」と落ち込むが、実は人と話すこと自体ではなく、競争で数字を追う形が合わなかっただけかもしれ⁠な⁠い⁠。

コアには、愛・楽・個・智・徳・才という6つの方向がある。同じ営業という仕事でも、どのコアを持つ人がやるかで、力が出る場面も疲れる場面もまったく違って⁠く⁠る⁠。

この違いを知らずに経験だけを積むと、「頑張っているのに結果が出ない」という空回りが起きやすい。逆に動力源を知った上で経験を選ぶと、同じ時間でも得られるものが大きく変⁠わ⁠る⁠。

友人関係でも同じことが言える。人に合わせて場を盛り上げるのが得意な人もいれば、一人の相手とじっくり話すことに力が湧く人もいる。どちらが良い悪いではなく、合う形が違うだ⁠け⁠だ⁠。

だから若いうちにまずやっておきたいのは、やみくもに動くことではなく、自分の動力源に見当をつけておくことだと言⁠え⁠る⁠。

若いうちの経験は「量」ではなく、「自分の力がどこで素直に出るか」を確かめるためにある。

フィールドとコンパスは、経験の中でしか育たない

コアが生まれつきの動力源だとすれば、その力をどの方向に使うかを決めるのが「フィールド」、どんな役割で出すかを決めるのが「コンパス」にあたる。こちらは生まれつきではなく、経験の中で育って⁠い⁠く⁠。

たとえば学生時代にサークルの代表を務めた人が、人をまとめる役割に目覚めることがある。これはコアが変わったわけではなく、経験を通してコンパスが育った結⁠果⁠だ⁠。

逆に言えば、何も経験しなければフィールドもコンパスも育たないまま止まってしまう。若いうちに色々な役割を試すことには、ちゃんと意味があ⁠る⁠。

部活でキャプテンをやる、アルバイトでシフトを組む、サークルの会計を担当する。こうした小さな役割の積み重ねが、自分がどんな出し方を得意とするかを教えてく⁠れ⁠る⁠。

たとえば文化祭の実行委員で裏方に回った人が、意外と段取りを組む仕事に没頭できたと気づくことがある。表に立つ役割だけが活躍の形ではないと分かるだけでも、視野は大きく広⁠が⁠る⁠。

ここで大事なのは、結果の良し悪しより「どの役割にいるとき時間を忘れていたか」を覚えておくことだ。それが後で自分を理解する手がかりにな⁠る⁠。

若いうちにやっておきたい、具体的な三つのこと

抽象的な話だけでは実感が湧きにくいので、具体的に考えてみる。一つ目は、合わない環境を早めに経験しておくこと。合わない場所を知っておくと、合う場所を見分ける感覚が育⁠つ⁠。

二つ目は、役割を変えて動いてみること。同じアルバイト先でも、リーダーをやる年と裏方に徹する年とでは、見える景色がまったく違⁠う⁠。

たとえば文化祭の実行委員を、一年目は雑用係、二年目は企画リーダーとして経験した人がいるとする。どちらが楽しかったかを比べるだけで、自分の傾向がかなり見えて⁠く⁠る⁠。

三つ目は、疲れた理由を「向いていない」で片付けず、具体的に書き出しておくこと。人と話すのが疲れたのか、数字に追われるのが疲れたのか、ここを分けておくと後で役に立⁠つ⁠。

就職活動の面接練習でも、うまく話せなかった原因を「緊張したから」で終わらせず、「初対面の人と話すこと自体が疲れたのか、評価される場が苦手だったのか」まで分けてみると、次に活かせる情報にな⁠る⁠。

これらはすべて、自分のコアに合った使い方を見つけるための材料集めだと考えると、若いうちの遠回りも無駄ではなく⁠な⁠る⁠。

いまの自分の「乗り方」を知っておく

LifeFlowには、今どれだけ流れに乗れているかを見る「フローレベル」という考え方がある。上から「フロー」「解放」「ループ」「制約」の四段階で、点数ではなく乗り方の質を表⁠す⁠。

たとえば毎日やることに追われて「やらされている」と感じているなら、それは制約に近い状態かもしれない。逆に、忙しくても自分で選んで引き受けている感覚があれば、解放に近⁠い⁠。

若いうちは特に、周りに合わせて予定を詰め込みがちで、知らないうちに制約寄りの乗り方が癖になってしまうことがある。この癖は大人になっても簡単には抜け⁠な⁠い⁠。

たとえば大学のサークルを三つ掛け持ちして、どれも「辞めるに辞められない」状態になっている学生がいるとする。本人は頑張っているつもりでも、実際にはループに近い乗り方で疲れをためているだけかもしれ⁠な⁠い⁠。

面白いのは、段階は時間が経てば自然に上がるものではなく、むしろやることを減らしたときに上がりやすいという点だ。何かを足すより、合わないものを一つ手放す方が効くことも⁠あ⁠る⁠。

一度身についた乗り方はすぐには消えないが、消えないからこそ、落ちてもまた戻ってこられる。若いうちに良い乗り方を一度覚えておくことには、長い目で見て価値があ⁠る⁠。

結局いちばんの近道は、自分のコアを知ること

ここまで経験の積み方や乗り方について触れてきたが、すべての土台にあるのは「自分の動力源を知っているかどうか」だ。土台が分かっていれば、経験の意味も乗り方の違いも理解しやすく⁠な⁠る⁠。

たとえば同じ「新しい挑戦をする」という行動でも、人によって、それが楽しくて仕方ないのか、無理をして頑張っているのかはまったく違う。見た目だけでは判断でき⁠な⁠い⁠。

若いうちにやっておくべきことを一つに絞るなら、流行りの経験を追いかけることより、自分がどんな場で力が湧くのかを早めに知っておくことだと言⁠え⁠る⁠。

それが分かっていれば、遠回りをしても方向を見失いにくいし、合わない環境に長くとどまってしまうことも減って⁠い⁠く⁠。

たとえば転職を考えるときも、「周りがやっているから」ではなく「自分のコアが素直に出る場かどうか」を基準にできれば、選択の軸がぶれにくくなる。これは働き始めてからも、ずっと使える視点にな⁠る⁠。

焦って何かを積み上げる前に、一度立ち止まって自分の動力源を見つめてみる。それこそが、若いうちにやっておいて損のない、いちばん静かで確かな一歩なのだと思⁠う⁠。

この記事のまとめ
  • 「やっておくべきこと」への焦りは、目的が見えないことから生まれる
  • 経験の量より、自分の動力源(コア)を知ることが先に立つ
  • フィールドとコンパスは経験の中で育つので、若いうちの役割経験には意味がある
  • 合わない環境や役割を知ることも、自分を理解する材料になる
  • 今の乗り方(フローレベル)を知り、やることを減らす選択も大切にしたい